トカラ列島のレントゲン便③ 諏訪之瀬島・平島・悪石島

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平島

諏訪之瀬島を出港すると、船は西へと舵を切る。南北に長いトカラ列島は東西2つの島列から成っていて、平島(たいらじま)は古い時代の火山岩でできた西側の島列に属する。平島はその名前から平らな地形を思い浮かべていたが、険しい断崖がそそり立つ海岸は決して平坦ではない。名前の由来は平家伝説にあるらしい。

トカラの各島には平家の伝承が語り継がれ、島司や郡司の家柄も残っている。壇ノ浦の戦いに敗れた平家の一門は、西走して九州各地に逃げ延びた。トカラ列島で最初に流れ着いたのが平島と伝えられ、島内には平家の穴と呼ばれる洞窟や、源氏の追手を監視した望楼の跡などがある。また、平島はトカラ列島のなかでもっとも昔からの風俗が守られている島。祭りはすべて旧暦で催され、中世から続く元服の儀式も行われているそうだ。

平島の南(はえ)之浜港には13:35に入港した。

平島の南之浜港。集落は山の上に見える鉄塔の向こう側。

ウェルカム壁画の左側に描かれているのは、豊作を願う島の伝統行事カセダウチで各家庭をまわる福徳神(フットコジン)。

健診のために乗船する人たち。船内では骨健診などが行われていた。

つい見入ってしまう狂犬病の予防注射。

 

平島集落にはガジュマルの大木や温泉があるようだが、集落は山の向こうなのでとても歩いては行けない。南之浜港の背後の坂道を上ると牛の牧場があり、トカラヤギが見られるかもしれないと聞いて、つづら折りの舗装道路を歩き始めた。標高が上がるにつれて見晴らしはよくなるが、周囲はリュウキュウチクの低木が広がるばかり。家畜の臭いがするのであたりを見渡すと、木々の間に赤茶色の牛が葉っぱを食む姿が見える。残念ながらトカラヤギは見つけられなかった。

つづら折りの道から南之浜港を見下ろす。海の色がさらに明るくなってきた。

舗装道路の周辺が南之浜牧場らしい。リュウキュウチクの中にぼつぼつと牛の姿が見える。

トカラ列島は野鳥の種類も多い。何羽もの大きな鳥が空を舞っていた。

 

舗装道路は遮るものがなく、強い日差しが照り返してきてさらに暑い。海を眺めながらもと来た道を下りた。南之浜海岸をのんびり歩き(遠景にトカラヤギの親子を発見!)、桟橋の突端から出瀬と呼ばれる磯を眺めて出港を待つ。

どこへ行っても引き潮。あとでカレンダーを見たら前日が新月だった。

住民健診が終わった港はのんびりした雰囲気。

南之浜港から見える右端の小さな岩場は、出瀬と呼ばれる磯釣りのポイント。島の神様が祭られている南端にあり、瀬渡し船でしか行けない。

どの島でも出航を待つ人たちは海の中を眺めている。

 

平島メモ
面積:2.08 km2 周囲:7.23 km 最高点:242.9m 人口64人
みどころ:甌穴(おうけつ)、平家の穴、大浦展望台、南之浜海岸、あかひげ温泉、ガジュマルの古木

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武藤 奈緒美

Naomi Muto, photographer
1973年、茨城県日立市生まれ。趣味は読書、落語や演劇鑑賞、歴史探訪、きもののあれこれ。昨今はとりわけ民俗学や日本の手しごとに強い関心がある。

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