トカラ列島のレントゲン便④ 小宝島・宝島

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宝島

レントゲン便はいよいよ最後の島に到着。宝島は小宝島と同じく隆起サンゴ礁の島で、その名の通り宝島伝説が語り継がれている。十島村のパンフレットによると、「イギリスの海賊、キャプテン・キッドが財宝を隠したといわれる鍾乳洞がある」そうで、実際に国内外から多くの探検家や賞金稼ぎが宝島を訪れてきたという。

前籠(まえごもり)漁港の大壁画は遠くからでも目立つ。想像上の海中都市が描かれている。

定期船が入港するたびに、島の人たちがロープで船を係留する。

船尾からのロープを岸壁につなぐ。フェリーとしま2のデッキから接岸作業を眺めるのも7度目だ。

船から桟橋へスロープが渡され、検診車、各種点検に出かける車両、ツアーバス、自転車などが次々と降りていく。

島の人たちが集まる前籠漁港。宝島避難施設と書かれた青い屋根の建物の中に、『映画ドラえもん のび太の宝島』(2018年3月公開)の立体パネルが展示されていた。宝島でもイベントが行われたとのこと。

 

トカラ列島で今年最後の住民健診が始まった。宝島の停泊時間は2時間。すでに見慣れた健診風景を眺めながら、集落や海水浴場へ続く一周道路を歩き始めた。

船内で健診を受けるために船に乗り込む島の人たち。

狂犬病の予防注射に連れてこられた犬同士が興奮して吠え合う。

テーブルとパイプ椅子が並べられ、胃と胸部のレントゲン健診の準備が整った。

 

宝島の集落は前籠漁港を出て坂道を上った高台にある。1824(文政7)年、島の周辺に出没していたイギリスの海賊船からイギリス人が上陸。銃を乱射して牛3頭を奪い、島に来ていた藩庁の役人に射殺された。集落入口の事件現場はイギリス坂と呼ばれ、この事件は翌年に異国船打払令が出されるきっかけのひとつになった。スティーヴンソンの冒険小説『宝島』は、この事件をヒントに生まれたともいわれている。

集落まで行けないこともないけれど慌ただしい。せっかく宝島に来たのだし、海でのんびりしたくなって、大籠(おおごもり)海水浴場を目指した。

宝島の中央には北西から南東にかけて山並みが走っている。無線中継局が立っているのが最高峰のイマキラ岳(291.9m)。展望台からは諏訪之瀬島や奄美大島まで広く見渡せるという。

強い日差しが舗装道路から防波堤から照り返してくる。

訪れた島々の港近くで必ず見かけたセメント工場。物流の不便な離島に必須の設備なのだろう。トカラ列島の舗装道路はアスファルトではなくコンクリートだった。

 

集落への分岐を過ぎて、漁沿いをしばらく歩く。オキナワハイネズやアダン(タコノキ)など亜熱帯の植物が茂り、いろいろな種類の蝶がひらひらと舞っている。平坦な道が多そうなので、自転車があるとあちこちまわれて便利だろう。

漁港のそばの海も水が澄みわたっている。飛び込んだら気持ちよさそう。

隆起サンゴ礁に張り付くように群生するオキナワハイネズ。

打ち捨てられた漁船を通り過ぎる。姫神の文字が読めた。

トカラヤギだろうか。奄美や沖縄と同じように、トカラ列島でもヤギはごちそうだという。

 

途中、一周道路から未舗装の道へ折れ、アダンの群生地を過ぎると大籠海水浴場へ出た。シャワーやトイレがある建物の正面に、大岩に囲まれた天然プールがあるのだが、着いてみると大岩の近くまで歩けるほどの引き潮。隆起サンゴ礁が細かく砕かれた砂は真っ白で、まだ水温が低い海に足を浸けるとひんやりとして気持ちがいい。小魚の群れが足下を泳いでいく。

隆起サンゴ礁でできた島は海岸も陸地も白っぽい。

大籠海水浴場の近くにアダンの群生地がある。実はまだ青い。

大岩に守られた大籠海水浴場の天然プール。満潮のときにのんびり泳いでみたい。

まぶしいほど白い砂浜。大籠海水浴場は炊事棟やキャンプ場も備わったレジャー施設になっている。

周囲の海辺には隆起サンゴ礁の瀬がえんえんと続く。

 

宝島の出港は12:15。トカラ列島に別れを告げて、フェリーとしま2は奄美大島の名瀬港へ向かった。

2日にわたってお世話になったフェリーとしま2。すべてが真新しく、快適な船旅だった。

なにげない港の風景も見納め。

 

宝島メモ
面積:7.07 km2 周囲:13.77 km 最高点:291.9m 人口:131人
みどころ:大籠海水浴場、観音堂と大鍾乳洞、イギリス坂、友の花温泉保養センター、荒木崎灯台、イマキラ岳
注意:トカラハブ

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武藤 奈緒美

Naomi Muto, photographer
1973年、茨城県日立市生まれ。趣味は読書、落語や演劇鑑賞、歴史探訪、きもののあれこれ。昨今はとりわけ民俗学や日本の手しごとに強い関心がある。

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