宝島
レントゲン便はいよいよ最後の島に到着。宝島は小宝島と同じく隆起サンゴ礁の島で、その名の通り宝島伝説が語り継がれている。十島村のパンフレットによると、「イギリスの海賊、キャプテン・キッドが財宝を隠したといわれる鍾乳洞がある」そうで、実際に国内外から多くの探検家や賞金稼ぎが宝島を訪れてきたという。
トカラ列島で今年最後の住民健診が始まった。宝島の停泊時間は2時間。すでに見慣れた健診風景を眺めながら、集落や海水浴場へ続く一周道路を歩き始めた。
宝島の集落は前籠漁港を出て坂道を上った高台にある。1824(文政7)年、島の周辺に出没していたイギリスの海賊船からイギリス人が上陸。銃を乱射して牛3頭を奪い、島に来ていた藩庁の役人に射殺された。集落入口の事件現場はイギリス坂と呼ばれ、この事件は翌年に異国船打払令が出されるきっかけのひとつになった。スティーヴンソンの冒険小説『宝島』は、この事件をヒントに生まれたともいわれている。
集落まで行けないこともないけれど慌ただしい。せっかく宝島に来たのだし、海でのんびりしたくなって、大籠(おおごもり)海水浴場を目指した。
集落への分岐を過ぎて、漁沿いをしばらく歩く。オキナワハイネズやアダン(タコノキ)など亜熱帯の植物が茂り、いろいろな種類の蝶がひらひらと舞っている。平坦な道が多そうなので、自転車があるとあちこちまわれて便利だろう。
途中、一周道路から未舗装の道へ折れ、アダンの群生地を過ぎると大籠海水浴場へ出た。シャワーやトイレがある建物の正面に、大岩に囲まれた天然プールがあるのだが、着いてみると大岩の近くまで歩けるほどの引き潮。隆起サンゴ礁が細かく砕かれた砂は真っ白で、まだ水温が低い海に足を浸けるとひんやりとして気持ちがいい。小魚の群れが足下を泳いでいく。
宝島の出港は12:15。トカラ列島に別れを告げて、フェリーとしま2は奄美大島の名瀬港へ向かった。
宝島メモ
面積:7.07 km2 周囲:13.77 km 最高点:291.9m 人口:131人
みどころ:大籠海水浴場、観音堂と大鍾乳洞、イギリス坂、友の花温泉保養センター、荒木崎灯台、イマキラ岳
注意:トカラハブ