これからの旅とストーリー

旅が好きで、旅を仕事にしてきました。
旅行を発信するメディアに携わって25年以上になります。

名所旧跡を訪れる、絶景を眺める、土地のおいしいものを食べる、お土産を買う、何もしないでのんびりくつろぐ。人それぞれに楽しめる要素があるのが旅のよさ。多様な地域で多様な人々に出会い、私自身もずいぶん助けられてきました。

一方で、年を重ねると旅のしかたも変わります。見るものすべてが珍しく、ヘトヘトになるまで歩きまわっていたのが、そのうち立ち止まってみるようになりました。あれもこれもと欲張らず、ひとつの場所、ひとつのテーマに集中する旅も増えました。

インターネットには膨大な旅行情報があふれています。でも、その多くは消費されていくコンテンツ。いまこの瞬間は必要とされていても、数年後にはいらなくなってしまうでしょう。

旅が好きな人たちが本当に読みたい記事って何だろう? とふと考えました。好奇心を持って広い知識と経験を求め、ものごとを面白がれる人たちの旅って何だろう?

『safar(サファル)』は、そんな“これからの旅”を模索し、さまざまなストーリーを紹介するWebマガジンです。スワヒリ語で旅を意味するsafari(サファリ)の語源で、旅や冒険の意味をもつアラビア語から名づけました。

空間を移動するリアルな旅、時間をさかのぼるバーチャルな旅。『safar』に立ち寄ってくださった方に、旅の楽しみをお裾分けできれば嬉しく思います。
そして、誰もが行きたい時に行きたい所へ行けるような、平和な世の中であり続けることを願ってやみません。

2018年10月10日
safarエディター 根本聡子